姫が王子で王子が姫で。
またもや視線でおじさんを見なさいと教えると、シオンは素直にそれに従い、
「……おえっ」
酔うはずもない電車内で吐き気を催したらしい。
ほらー言わんこっちゃなーい。
わたしは口元を押さえて俯くシオンを押しのけて、おじさんの前に立つ。
「すみません気持ち悪くなっちゃったみたいでー」
「……え、あ……キミも、男かね?」
「…………。そうですよ?」
女ですがね!
でも今は嘘ついてた方が身のためかもと思ったわけだ。
つきたくもない嘘だけどね!
おじさんはわたしとわたしの後ろのシオンを交互に見つめ、
「……どちらも性別がよくわからんなぁ……」
とか首を捻っていた。
まあ、おじさん、それは今はいいということで。