姫が王子で王子が姫で。
「ミヨちゃん、それ、ボクが払うよ」
もうひとつの髪飾りを棚に戻していたミヨに声をそうかける。
するとミヨは、驚いた表情を浮かべてこちらを向いた。
「え、でも悪いよ!」
「いいよ。っていうか、ボクが買ってあげたいんだし」
うわお。
自分何言っちゃってるんだろう!
どう言ってもらえたら嬉しいかなとか思いつつ喋ってたら言っちゃったよ!
自分すごい!
とかなんとか、自分にビックリしつつ感心してたら、ミヨは。
「……じゃあ、お願いしちゃおうかな」
ちょっと照れ臭そうに髪飾りを手渡してきた。
あー、でも自分の言ったことで相手が喜んでくれたり、なんか反応してくれたら嬉しいのは男女同じなのかも……。
なんて考えながら、わたしはレジに向かった。
会計を済ませ、出入り口付近の棚を眺めていたミヨに、
「はい」と小さな袋を手渡すと、ミヨはそれを嬉しそうに受け取ってくれた。