姫が王子で王子が姫で。




「……ありがとう」


と、本当に嬉しそうな表情をして笑ってくれるミヨを見たら。

一瞬、ものすごい罪悪感がわたしの中心に芽生えた。

ミヨが喜んでくれるのは嬉しいけど。

でもミヨはどうしてそんなに喜んでくれているのか考えて。

あぁそうかわたしが今“男の子”だからかって認識して。

あれ、じゃあ待って。

わたしが本当は“女の子”だって知ったら、ミヨはどう思うかな。

これはいわゆる、人を騙す行為で。

え、じゃあ、わたし今、すごい最低なことしてない……?

……と。

一気に罪悪感が押し寄せてきた。

けれど。


「ミオンくん、どうしたの?」


本気で心配してくれてるミヨを見たら、


「……ううん、なんでもない」


そう言って誤魔化すしかないような気がした。




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