姫が王子で王子が姫で。
困り顔で笑ってみせると、ミヨは楽しそうに足取り軽く角を曲がる。
「もうちょっと行くとね、可愛いカフェがあるんだよ~!」
「そうなんだ」
「ミオンくんは、コーヒーと紅茶どっちが好き?」
「そうだなー……コーヒーかな」
「ブラック?」
「うん」
「すごーい!大人だ~!」
「や、そんなこともないでしょ……」
コーヒーのブラックが好きなのは事実。
たしか、前にもマナミから「女子ならもっと可愛い飲み物好きになりなよ」って言われた記憶があるなぁ……。
コーヒーのブラックって、そんなに大人な飲み物なんだろうか……。
またもや内心で肩を落とすわたしは、その時。
こちらを向いて笑っていたため、後ろ向きに歩いていたミヨの背後から、車が来ていることに気がついた。
ミヨは気づいてない。
ヤバイヤバイ!