姫が王子で王子が姫で。
「で、おじさん、そろそろ駅に着くんですが、ご同行願えます?」
「え゛っ」
「……ったりめーだろうが変態。行かねェっつったらブッコロスぞ」
顔色の悪いシオンの口を右手で押さえて、わたしはおじさんに笑顔を向ける。
「まあ、そういうことなので」
いつの間にか周りの人々もこの小さくも大きな騒動に気づいたらしく、おじさんは渋々といった様子で頷いた。
◆◆◆◆◆
「ぎゃはははははっ!またか!またかよシオン!お前サイコーだな!」
「るっせェ……」
「それを笑顔で助けたミオンも男前だね~」
「あはは~それはどうも~」
学校に着くや否や、机に倒れ込んだシオン、そしてその隣の席に腰を下ろしたわたし。
そんなわたしたちの前の席に座っていた2人が、シオンの様子を見てか話しかけてきた。
朝の電車でのことを話した途端、ぎゃははははと1人でめちゃくちゃ大爆笑を始めたシオンの前の席に座るジュン。
で、笑いながらもわたしの行動に感心を示したのは、わたしの前の席に座るマナミ。
シオンは相変わらずグッタリだ。