姫が王子で王子が姫で。




◆◆◆◆◆



「なんか顔色悪いよね?」

「…………」

「気持ち悪いんだ?」

「…………」

「吐きそう?」


テメェのせいだよクソが!

なんの映画を見ていたのかさえ覚えちゃいない。

しかも途中からだったような気がしないでもない。

映画館の前にある噴水が特徴の広場で、俺はベンチに座ってずっと下を向いていた。

リアルに吐ける。

今なら吐ける。


「なんか飲み物買ってくるわ!」


突然立ち上がったシンは、そう宣言してどっかに走って行った。

そのまま帰ってくんな。

心の底からそう願ったが、まあ、当然アイツは戻ってきた。

しかも、


「はいこれ」


ブラックコーヒーを持って。




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