姫が王子で王子が姫で。




「じゃ、俺がこれ飲むから、なんか違うの買ってくる。何がいい?」


コーヒーを引っ込めて、今度は質問してくるシン。

別になんもいらねェからマジで帰らせろ。

という本心はギリギリで抑え込む。


「……ミルクティー」


好きな飲み物を言うと、シンは「了解!」とか言ってまた走って行った。

事実、ミルクティーが俺は好きだ。

ミオンはコーヒーのブラックが好きだ。

あーなるほど。

飲み物の面でも性別が逆だ。

コーヒー飲めるようになったら男っぽくなれるのか……?

と、ありえないことを考えていると、今度はミルクティーを手にシンが戻ってきた。

だから戻ってくんな。


「はい、これで大丈夫?」


俺は差し出されたペットボトルをしばらく見つめ、それから受け取る。

するとヤツは俺の顔を覗き込むように腰をかがめ、


「あれ?お礼の言葉はないの?」


メンドクセェ!

そして近ェ!




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