姫が王子で王子が姫で。




気力をなくしたシオンの細い肩を、バシバシと叩くジュンの手。

爽やかスポーツマンタイプなジュンは、元気づける時はすぐに人を叩く癖がある。


「ま、そう落ち込むなってシオン!男が痴漢に遭うなんて早々ねェぞ!レア体験だ!ぎゃはははははっ!」


前言撤回。

あまり爽やかではないかもしれない。

むしろウザイかもしれない。

シオンはジュンの手を払いつつ。


「じゃあお前が遭ってみろよ。死にたくなるから」

「残念ながら俺は一生遭うことはねェな!何故ならチャリ通だから!ぎゃはははははっ!」

「事故れ。そして逝け。」

「そんなこと言ってるとお天道様が怒ってまたお前に痴漢被害が及ぶかもしれないんだぞー?」

「…………。すんません。」

「ぎゃはははははっ!ヤベェヤベェ!弱ってるシオンいじるの超楽しいぞ!ヤベェ腹痛ェ!俺の腹筋返せ!ぎゃはははははっ!」

「お前が死んでくれるならあと一回被害に遭っても俺は耐える。」

「おう!?俺のことがそんなに嫌いだったのかシオン!」


ガーンッ!と効果音を口に出してしょげるジュンなんかお構いなしに、シオンは机に突っ伏して向こうを向いてしまった。

その様子を見て、マナミはわたしの机に頬杖をついて、言う。



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