口紅
5才
今日のお母さんはいつもと違う気がする。
いいにおいがする。
それにちょっときれいな気がする。
服だっていつものエプロンじゃないし、
靴だって転びそうなかかとの高いピカピカのくつだし。
おかしいな、前にお母さんはあんなくつを履いた、若い女の人をみたとき、
「やあね。最近の若いひとって、あんなに高いくつをはくのね。ミカは、あんなくつはいちゃダメよ。」って、
わたしに言ったのに。
でもすっごく楽しそう。
あんなお母さん、初めて見た。
それから、お母さんは口紅を塗った。
わたしは思わず言った。
「ねえ、わたしにも塗って!」
お母さんは、わざとらしく腕を組んで、考えるふりをした。
「うーん。ミカにはまだはやいかな。おっきくなったら、塗ってあげます。だから、にんじんも、ちゃんと食べようね。」
「えー!!」
不満そうなわたしの頭に手をのせて、お母さんは、いたずらっぽく微笑んだ。
その仕草に、ミカはどきっとした。
いいにおいがする。
それにちょっときれいな気がする。
服だっていつものエプロンじゃないし、
靴だって転びそうなかかとの高いピカピカのくつだし。
おかしいな、前にお母さんはあんなくつを履いた、若い女の人をみたとき、
「やあね。最近の若いひとって、あんなに高いくつをはくのね。ミカは、あんなくつはいちゃダメよ。」って、
わたしに言ったのに。
でもすっごく楽しそう。
あんなお母さん、初めて見た。
それから、お母さんは口紅を塗った。
わたしは思わず言った。
「ねえ、わたしにも塗って!」
お母さんは、わざとらしく腕を組んで、考えるふりをした。
「うーん。ミカにはまだはやいかな。おっきくなったら、塗ってあげます。だから、にんじんも、ちゃんと食べようね。」
「えー!!」
不満そうなわたしの頭に手をのせて、お母さんは、いたずらっぽく微笑んだ。
その仕草に、ミカはどきっとした。