口紅
29才
気がつけばもう、三十路前になっていた。
それでも女でいたい、と、たまに夫と娘の三人でいく外食の日には、おしゃれをするようにしていた。
「ねえねえ、お母さん。」
幼い声で呼びかけるのは、私の愛娘、
5才になったばかりのサキ。
「なに、してるの?」
サキが指を差した先にあったのは…
お母さんからもらった口紅。
唇に塗るその仕草に、惹かれたんだろう。
小さい頃の私みたいに。
私は、女になった。
女の子に、教えてあげるんだ。
前を歩いて。
「大きくなったら、サキにも付けてあげる。」
そういって、思い切り微笑んだ。
それでも女でいたい、と、たまに夫と娘の三人でいく外食の日には、おしゃれをするようにしていた。
「ねえねえ、お母さん。」
幼い声で呼びかけるのは、私の愛娘、
5才になったばかりのサキ。
「なに、してるの?」
サキが指を差した先にあったのは…
お母さんからもらった口紅。
唇に塗るその仕草に、惹かれたんだろう。
小さい頃の私みたいに。
私は、女になった。
女の子に、教えてあげるんだ。
前を歩いて。
「大きくなったら、サキにも付けてあげる。」
そういって、思い切り微笑んだ。