ばい


「仁、おかえ…」

「……」



乃亜の実家に着くと尚輝が話掛けてきたけど
無視して自分の荷物をまとめた。


尚輝は何も言わずに俺の行動を見てた。



「…俺、富田さんたちの所に行くわ。」

「乃亜姉が原因?」

「尚輝が言ってたことがわかったよ…」

「仁が傷付くってヤツ?」

「あぁ…」



今なら尚輝が言ってた意味がわかった。


乃亜は、あの幼なじみ…
慎ってヤツがずっと好きだったんだ。


そして


慎ってヤツを見たときから思ってた。



「…慎に会った?」

「あぁ…俺に似てた。」



慎ってヤツは俺に似てた。


だったら答えは簡単だ。


乃亜が俺を拒否らなかったのは…


俺を突き放さなかったのは…


俺に慎ってヤツを重ねてみてたんだ。


俺は代わりでしかなかったんだ。


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