ばい
「私じゃなく、あの人を選んだから
あのとき来なかったんでしょ?」
高校を卒業し上京するときに私は慎との関係をハッキリさせたくてメールを送った。
慎が好きだと…
もし、美月さんじゃなく私を選んでくれるなら…
この場所に来て欲しい…
そうメールを送った。
だけど、どれだけ待っても慎は来なかった。
だから…
慎は私じゃなく美月さんを選んだって思ったのに…
「あのとき?」
「そう。私が上京するときに私を選んでくれるなら、この場所に来てってメールを送ったじゃない。」
「そんなメール知らねぇ…」
慎が嘘を吐いてるようには見えなかった。
18年も近くに居たんだから
慎が嘘を吐いてるかなんて
すぐにわかる。
「もしメールを見てたら俺は乃亜を選んだ!」
「…慎。」
そう言って慎は私を抱き締めた。
仁とは違う香り…
仁とは違う温もり…
仁とは違う抱き締める力…
私はこの腕の中が大好きだった…
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