ばい


「離して!仁を追いかけなきゃ!」

「嫌だ!アイツは乃亜の何なんだよ!?」

「……」



慎の言葉にハッとした。

仁は私の…


何なんだろ…?


仁は私のことを好きだって言ってくれた。


でも私はそれに答えてない。


だけど…



「仁は私の大切な人だよ。」



私は慎の目を真っ直ぐに見つめて言った。



仁の気持ちに答えてないけど…


答えなかったのは仁を失うのが怖かったから。


好きだと言われなくても相手の気持ちが自分にあるって信じて違っていたら嫌だから。


だけど


仁はちゃんと『好き』って言ってくれた。


この先、仁の気持ちが変わるかもしれないけど…



「私は仁が好きなの…」

「だって、アイツは芸能人だぞ!」

「な、んで…」



なんで仁が芸能人だって、わかったの?


今回の撮影は誰にも知られてないはず。


仁たちが撮影してた海は誰も来ない。


だから私と慎はあの海で美月さんに内緒で会ってたんだ。



「コンビニで見たときに、どっかで見た顔だって思ってたけど…
昨日、雑誌見てたら尚輝と一緒に載ってた。」

「……」



そうだ…


慎は尚輝を昔から知ってる。


仁と尚輝はモデルから歌手や俳優の仕事をするようになった。


今でもモデルの仕事を続けてるから


雑誌に載ってる。


慎はそれを見て仁が芸能人だって知ったんだ。


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