ばい


「え…?」

「仁は会いたくないって…
ごめんね?」



旅館に着き富田さんに仁に会いたいと伝えてもらったけど…


仁はそれを拒絶した。



「……ッ…」



涙が出た。


こんな年になって人前で泣くなんて恥ずかしいことなのかもしれない。


でも…


今は、そんなの関係ない。



「乃亜ちゃん…」

「……が…」

「ん…?」

「仁が会ってくれるまで
ここで待ってます。」

「…わかった。」



富田さんは何も聞かずに私の言葉を受け入れてくれた。


だって…


今、会わなきゃ仁には会えない。


そんな気がしたから。


それが現実になったのは…


次の日だった。


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