ばい


「乃亜姉…」



あの後、どうやって帰ってきたのか覚えてない。


気付いたら部屋にいて尚輝が心配そうな顔をして目の前にいた。



「尚輝…」

「仁…今日、帰るって」

「え…?」



今日、帰る?


なんで?明日、尚輝と三人で帰る予定だったはずなのに。



「撮影が終わって急に言い出したんだ」

「…そう」



きっと私に会いたくないんだ。


私の顔なんて見たくないんだ。


私は仁を傷付けたんだ…



「いいの?」

「いいも悪いも…」



仁は私に会いたくないんだから仕方ない。



「今、会わなかったら
もう会えなくなるよ?」

「………」



私はまた走り出した。


尚輝の言うとおり会えないかもしれない。



そして…


その言葉は現実になった。


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