意外にも天然な君【完】
でも名前は知らない。
ただ分かるのは、“同級生”という事と“野球部”だということぐらいだ。
話したことなんて、あるわけがない。
部活を知っているのは、ここの窓から見えるのが
野球部の活動だからという理由なだけだ。
特にかっこいいわけでもなく、取り立てて目立つわけでもない。
だから、名前なんて知るわけがないし
このクラスの誰かに用事なんだろう、と思った。
「ここのクラス、あたし以外誰もいないよ」
声を掛けたのは、ただ気が向いたから。
別に理由なんてない。
ただ、なんとなく、だ。