意外にも天然な君【完】
コトッ──
そんな音がして、机の上を見るとさっきまでなかった箱。
何が起きたのか理解しようと横を見ると、さっきまで教室の真ん中辺りでキョロキョロしてたやつが、すぐ横にまで来ていた。
意味が分からず、その箱を持って、ソイツに差し出す。
「はい。落としたよ」
「…………」
返事がなかった。
あれ?
違うの?
「──それ、お前に」
やっと言葉を発したかと思うと、そう言ったっきりまた黙り込んでしまった。
ていうか、初対面にしてお前呼ばわりだった。
一度その事に反論しようかと思ったが、よくよく考えてみると初対面なのは向こうも同じ。
名前なんて知らなくて当然だろう。