不器用に優しいアイツ【完】

「財布は?」

「手に持ってる……」

あたしの返事を聞いて、とっしーははぁとため息を吐く。

呆れられた……。

心のどこかでそう思うものの、頭の中の大半はお返しの事でいっぱいだった。


「……じゃあ」


彼がその言葉の続きに何を言おうとしてるのか、手にとるように分かった。




──分かったから、あたしはその言葉を遮った。


「あたし──……っ

探してくる!」




そう言って──……逃げた。



< 14 / 26 >

この作品をシェア

pagetop