不器用に優しいアイツ【完】
気付いたのは「なんで留守の『あたし』が返事できんだよ」という
とっしーの呆れた声が聞こえてからだった。
さすがにあたしもこの馬鹿さ加減には、自己嫌悪。
だいたい何で初めから素直に出ないで、居留守なんてしようとしたんだろう……。
恐る恐る、カチャリ、とドアを開ける。
そこには数分前と何ら変わらないとっしーがいて。
息は切らしてないものの、額にうっすら汗をかいてることから
探し回ってくれたことが分かる。