不器用に優しいアイツ【完】


──そしてその手には。



「ん」



あたしの無くした鞄があって。


「な……ど……」


何で。
何処に。
どうして。



そう言いたいのに舌が回んなくて。



「……手に財布持ってるってことは、明里が財布を使ったってことだろ。

で、明里が今日財布を使ったのはゲーセンでだけ。



わりぃ。
俺が引っ張ってきたから、慌てて忘れたんだよな。


──ホントに、ごめん!」



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