先生
「すまない、軽率だったな」

先生はワントーン落とした低い声で謝ってきた。


大丈夫。


「もう平気なんです。ただ、あまりにも急だったからびっくりしただけです」

私は笑顔で先生をバシバシ叩いた。

「教師を叩くな」

そう言って、先生は私の手を掴んだ。
そして、もう片方の手で頭を撫でると


「俺で良ければ、父親だと思ってくれて構わない。何か有ったら相談して良いから」


そう言って、私を引き寄せたんだ。


先生のシャツからはタバコの匂いがした。

私はどうして良いか分からなくて、ただ身を任せて居たんだ。

先生の気持ちが嬉しくて少し涙が出そうになった。

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