先生

案内された窓からは一面、宝石を散りばめたかのような夜景。

私達は窓一面に広がる景色を見ながら、祐輔さんとその奥さんが作る料理を食べた。


先生の話によると、祐輔さんは先生の高校生からの親友なんだって。



『祐輔とは色々有ったけどな』


って笑ってた。



でもね、先生の目が悲しそうだったよ。



私が知らない頃の先生。



ちょっぴり置いて行かれた気分で寂しいな。


祐輔さんは、私達にサンタの付いたケーキを出してくれた。


『誕生日用の飾りが無くてな』


そう言うと、可愛らしい飾り付きのケーキをテーブルに置いた。


「スゴいね!!」


先生より遥かにテンションが高い私。

そんな私に微笑みながら

「なっ」

って言ったんだ。


ろうそくがキラキラと揺らめいている。

「先生早く消しなよ!!!」

急かす私に

「一緒に消そう、純那」

ろうそく越しに見る先生は、いつもよりセクシーだったよ。

私が大きく頷いたのを見ると


「せーの――――」



――――フーー


今まで揺らめいていたろうそく達が、一気に白い煙と化していた。


この匂い好きだな……


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