先生
『好き』

が喉まで出かかった時、


「帰ろうか」


先生、ズルいです。


タイミング悪すぎです。


でも、おかげで『告白』を思いとどまれたけど。

マフラーに顔が埋もれたまま頷いた。

パッと放された手が、楽しい時の終わりを告げている様で悲しかった。



――雪が壊れていく。



だって、


悲しい気持ちだから。



唯一、マフラーで繋がれた私達。



すごく楽しかったけど



同時に、きっと叶わないって分かった。



ゆっくりと私の首からほどかれたマフラーを渡した。

なるべく一緒に居たいからゆっくりと車に乗り込む。


「帰るぞ」


そう言った先生の言葉に、うつむきながら頷いた。


車が発進する。



窓を見ると、さっきまで降っていた雪がやんでいた。

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