先生
曇った窓にうっすら浮かぶ
【スキ】
の文字。
俺は無意識にマフラーを触っていた。
純那……
いや、新学期からは純那とは呼べない。
いつも通り一生徒として『新庄』となるからだ。
それが俺のモットーだから。
新庄はおっちょこちょいで何か抜けてて危なっかしい、俺の受け持つクラスの生徒だ。
でも、意外と頑張り屋で純粋な奴。
テストが良かったからご褒美をって思ったら、新庄がお願いしてきたご褒美が
『誕生日に先生の時間を下さい』
だよ。
特定の生徒と過ごすのは気が引けたけど、新庄があまりにもまっすぐな目でお願いするからついOKしてしまったんだ。
昨日は確かに楽しかった。
何て言うか……
新庄と居ると温かい気持ちになるんだ。
それが新庄の良い所だと思う。