先生
昨日、たまたま新庄が居たから行こうと思えたんだ。
きっかけが無かったら、きっと一生行けなかったと思う。
それ位俺は肝っ玉が小さい男なんだ。
ただやっぱりああいう別れ方をしたから、気になってはいたんだ。
俺も大人になった。
咲代の事もそうだが、祐輔に対しても
『怒り』
はさして無かった。
月日の流れはすごいな……
昨日、半ば強制的に新庄と行ってみた。
もちろん新庄には何も話して居なかった。
はしゃぐ新庄に、何だか緊張がほぐれたのは確かだった。
久々に見る祐輔は、少し痩せていた気がした。
窓際に案内してくれたのも、ケーキを用意してくれたのもあいつなりの罪滅ぼしだったんだろうな。
しかし、そんな俺を緊張させたのは厨房から出てきた女性。
そう、奥さんとなった咲代だった。