先生

白いエプロンをした咲代は、大人っぽくなっていたな。


『久しぶり、慎弥』


その言葉で、昔の思い出が一気に蘇ってくる。

情けない事に、会話をするのが精一杯な位心臓がバクバクしていた。


そんな空気を取っ払ったのが、


『先生、ケーキ食べよう』


という新庄の言葉だった。

一気に血液が体中に流れた気がした。

きっと、この子は人を温かい気持ちにさせる事を知って居るんだな。


新庄はケーキを切り分けると

『はいっ』

そう言っケーキが盛られたお皿を渡してくれたんだ。

ケーキを食べ終えて出ようとした時、新庄はカバンから包み紙を取り出して俺に渡してきた。


なんのこっちゃ??


と戸惑う俺に『プレゼント』だって言うんだよ。


俺は再び嬉しさがこみ上げてくるのを感じた。

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