先生

「ちょっ……さゆりさん!!!」


そう言いながら、盛り上がるさゆりさんの口を必死に塞いだ。


「ごめんごめん」


私の手を退けると、逆に小声で聞いてきたさゆりさんはなんだか可愛いかった。

その後、私の今までの事を全て話した。


不安な気持ちでいる事
かまってくれて嬉しい事
迷惑なんじゃないかとか
先生と生徒じゃ大きな壁が有る事
嫉妬しちゃう事


全部話した。


私が一通り話し終わると、


『通じるよ』


そう一言だけ言った。

ポロポロとこぼれ落ちる涙を拭きながら顔を上げると、さゆりさんは優しい顔をしていた。


けれど、あの一言にはものすごい【女の強さ】を感じたんだ。


「えっ?」


大きく目を見開く私に、



「大丈夫、純ちゃんが好きって想い続けてたら、いつか気持ちは通じるよ」



さゆりさんの言葉は、魔法の様に私の心の中にすんなり入ってきたんだ。


さゆりさんは私の手の上に自分の手を重ねると、店長との馴れ初め話を話してくれた。

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