先生

私は先生を見ながら笑ってると、

「何だよ、新庄」

って少し赤くなっていた。


やっぱり可愛いな。


「先生、この前はありがとうございました」


急にお礼を言う私に、少し戸惑う先生。


「どうしたんだ?熱でもあるのか?」


そう言って、私のおでこに手をあてる。

先生のそういう所も好き。


「モテるからさっ、先生は」


つい、昼間の光景が目に浮かんじゃう。


一気に沸き起こる


嫉妬。



醜い感情。



それを取り払うかの様に、精一杯の笑顔を作った私。

そう、笑顔はおまじない。


「別にモテな……」


先生の言葉を遮って言葉を続けた。


「時間を私にプレゼントしてくれて、ありがとうございました」


私は笑顔のまま、カバンを持った。


これ以上は、もう持つ自信が無い。




笑顔。




今はまだ、3分しか持たないんだ。

泣いている顔を、見せたくない。


先生を苦しめるから。


だから、このまま帰るね。


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