先生
――――キーンコーンカーンコーン


最後の授業の終わりを知らせるベルが鳴った。

みんなは一斉に立ち上がった。

帰り始める人や支度をする人。
はたまた、おしゃべりをしてる人。


先生を見ると数人の女子に囲まれていた。


キュっと胸が締め付けられる。

私は1人身支度を済ませて、視聴覚室に向かった。


なんで視聴覚なんだか分からない。


多分、先生と初めてゆっくり話した場所だからかな?


沢山のプリントを纏めたり、泣いている私を優しく包み込んでくれたり……

もちろん、勉強も沢山見てもらった。

思い出が詰まってる場所だから。


私は視聴覚室の中に入り窓際に行った。

外は春休みになり、嬉しそうに帰っていく生徒達が列をなしていた。


春休みはまたバイト三昧になる。

さゆりさんに会えるのは嬉しいけど、先生に会えない日々が続くんだもんね……


私は鞄を床に置くと、端に置いてある机を触った。


――先生と一緒に勉強した机。


何だか先生が居るみたいで嬉しくなる。

ゆっくりと椅子に座ると、居残りした日の事を思い出した。

鮮明に蘇ってくる。


あの日は、もう戻って来ない……



私は机にダランと突っ伏すと、目を閉じた。



涙が机を濡らしていった。

< 171 / 444 >

この作品をシェア

pagetop