先生
いつも通り、ちゃんと家の前まで送ってくれた先生。
でも、私はいつも通りすんなり降りる事が出来なかった。
「どうした?」
そう、優しく聞いてくれる先生に、ただ黙って俯く事しか出来ない私。
完全に困った子だね。
先生は後ろからガサガサと何かを取り出した。
「はい、口開けて」
そう、甘い甘いミルキー
「甘い……」
そう言いながら、不覚にも涙がこぼれ落ちてくる。
「そんなに甘いか?」
私の手の中にもう一つミルキーを握らせた先生。
「せん…せ。私のこと…忘れないで…」
この言葉が精一杯。
ねぇ、どうしたらいい?
「馬鹿だな、純那は」
そう言いながら、グッと私の肩を引き寄せ
抱きしめてくれたんだ。
いつの間にか、先生の腕の中に居た私。
どうして良いか分からなくて
ただ、先生に身を任せていた。