先生
あれから、純那は明るく振る舞っているけど、ふとした時の表情が悲しげなんだ。
1人の時に窓の外を眺めながら、ものすごい切なさそうな顔をしているの。
なんだかんだ、純那とは5年も一緒に居るから言わなくても分かるんだ。
本当は泣きたい位、辛いんだよね……
いくら一緒に居ても、埋まらない穴。
その胸の穴は、真咲先生しか埋める事は出来ないんだ。
でも、もう苦しそうな純那を見ていたくないや。
帰ってきた純那は私の横に立ち、一緒に外を眺める。
すぐに純那は、一点を見つめ始めた。
そう、真咲先生を見つけ出してしまう。
人を好きになった人だったら、きっと分かるはず。
好きな人は、どこにいてもすぐに分かるんだ。
以前、純那は自慢気に話してくれたんだ。
『どこにいても、先生の事はすぐに見つけられるよ』
今は、それが苦しさを増してしまうよね。
「ねぇ、柚子」
不意に純那が話しかけて来る。