先生
「確かに新庄の事は、惹かれている部分はあると思う。
新庄の気持ちも、苦しんでいるのも、悲しそうな顔をしているのも知ってる」


「じゃあ、なんで……」


私が言葉を挟む。


「リスクだよ。

例えば、2人が付き合ったとして…
2人の関係が学校側にバレた時、新庄が退学になったら元も子もないだろう。

新庄にはちゃんと、高校生活を全うしてもらいたいんだ。
きっと、新庄にふさわしい男性が出て来るよ。

俺に新庄の幸せを壊す資格は無いんだ」



先生は切ない顔をしながら話してくれた。


先生も苦しんでいる事が良く分かった。



好きと言う気持ちと、教師と言う狭間で…



「でも……このままじゃ、純那は苦しんだまま高校を卒業する事になるよ。

これって、幸せなのかな?
本当に純那にとって幸せなの…?」


きっと、先生となら純那は苦難を乗り越えられると思うんだ。



だから……



「逃げないでください」


先生は、少し笑ってから


「俺が、いつ逃げた?」


「純那の気持ちから逃げてる……」


先生はパンダ柄のマグカップの中のお茶をすすると、


「俺がいつフッた?」


「えっ?」


私は先生の瞳を見つめた。


何を言ってるのか意味が分からなくて、真実を見つけようとしていた。


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