先生
私はすぐさま柚子に電話をかけた。

電話の呼び出し音が鳴る。


……3回目のベルで電話を取った柚子。


『もしもし、柚子?』


『あれっ?純那?まさか1人?!』


電話口からも柚子が慌ててるのが分かる。


『違うよ。柚子、ありがとね』


いきなりのお礼に、勘が良い柚子は察してくれたみたいで


『先生と楽しんできなよ!!
お誕生日なんだからさ。
私もちょうど聡史とデートしたかったし』


気を使わせないようにしてくれる柚子。


『わ…私のはデートじゃないもん!!
それより、柚子が親友で本当に良かった』


『……純那…もうっ!!
デート前に泣かせないでよね。
早く先生とデートしてきなさい』

『だから、デートじゃないってば!!』

『はいはい、じゃあね』


そう言って、早々と電話が切れた。

プーップーッと言う音が耳に響いている。


「……切れちゃった」


そう言った私の口に、ポイッと入ってくる甘いもの。


「ミルキー?」

「そうだよ」

そう言った先生は、今度こそアクセルを踏み車を発進させた。


「先生、ありがとうございます」


運転する先生の横顔を見ながら、私はお礼を言った。


「どういたしまして。それより、新庄」


「はい?」


その次に聞いた言葉に、思わずミルキーを飲み込んでしまいそうになった。

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