先生

そこからは歩いて岸に上がった。

私達はびしょびしょのまま、自分達のパラソルに行った。

バスタオルで私の体をくるんでくれ、

「大丈夫か?座ってろ」

って心配してくれる。


せっかくの海なのに……


「ごめんなさい」

完全に凹みながら謝る私のおでこにデコピンする先生。

「バーカ」

そんな言葉とは裏腹な優しい笑顔。

先生はタオルを掴むと、ガシガシ頭を拭いていた。


そんな姿も素敵で、先生から目を離せないでいたら

「惚れた?」

っていつものセリフ。


『もう、惚れてるってば!!』


なんて言葉に出来るハズもなく、黙ったまま先生を見上げた。

私の視線なんて気にせずに頭を拭く先生。


タオルに嫉妬だな。

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