先生
ありがとう
私はお母さんが待つ居間に、走って降りて行った。
疲れているはずなのに、ちゃんと起きていてくれてるの。
テーブルには、コンビニのケーキにろうそくが立っていた。
「ごめんね。お店が閉まっててね」
って、お母さんは申し訳なさそうに言ったんだ。
「充分だよ。ありがとう、お母さん」
私はそう言うと席についた。
それは、本心だった。
見た目はコンビニかもしれないけど、このケーキには愛情がたっぷり詰まっているんだ。
だから、すごく嬉しいよ。
お母さんは、ライターでろうそくに火を付けてくれた。
電気が消えると、ユラユラと揺れている火がとてもきれいだった。
お母さんは、嬉しそうにハッピーバースデーを歌ってくれた後、
「純那、17歳おめでとう!!」
って。
そんなお母さんに
「お母さん、産んでくれてありがとう」
そう言ってから、ろうそくを一気に吹き消した。
真っ暗闇の中、お母さんの鼻をすする音だけが響いていた。