先生
「お母さん…泣いてるの?」
そう聞く私に
「泣いていないわよ」
って強気なお母さん。
女でひとつで私を育ててきたお母さん。
文句一つ言わず、朝から晩まで働いてくれた。
私が高校まで不自由に行けたのは、お母さんのおかげ。
「お母さん、今日ね彼氏が出来たの」
私は今日の事を、少しだけお母さんに話した。
もちろん、相手が先生だとはさすがに言えなかったけどね。
お母さんは、最後まで話を聞いた後で
「早く純那の花嫁姿が見たいわね」
なんて、気が早いよ。
私はそんなお母さんに
「お母さんが産んでくれなかったら、私その人に出逢えなかったよ。
本当に本当にありがとう」
そう言った。
多分暗闇だから素直になれたんだと思う。
「純那…」
お母さんはそう言ったっきり黙っていたけど、きっと涙を流していたんだと思う。
ずっと、迷惑かけてごめんなさい。
私はお母さんの子に産まれる事が出来て、本当に幸せだよ。
これからも沢山迷惑かけるけど、宜しくお願いします。