先生
「帰るか」

先生は上体を起こすと、私の背もたれを直してくれた。

「…うん」

シートベルトを締めると、バックミラーを直してからギアをドライブに入れた。

先生の仕草は、全部無駄がなくてスマートなんだ。


些細な仕草にまでキュンとしてしまう私は、『先生中毒』かな?

体の隅々まで、敏感に反応しちゃう。


先生はどれくらい私の事を好き?


多分、沢山の甘い言葉よりも

ステキなプレゼントよりも

先生とのキスの方が、100倍も気持ちが伝わるんだよ。


車を運転する先生は、私の手をギュッと握りしめて恋人繋ぎをするの。

それだけでも爆発しそうな私の心臓。

でも、先生は赤信号になる度に私の手の甲にキスをするの。

そして、決まってニコッと笑うんだ。


その顔が見たくて
『赤信号になれ』って念じていたんだ。


そんな事をしているからか、いつもより帰りの道のりが早く感じた。

気が付いたら、家の前まで来てしまっていたんだ。

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