先生

「せんせ…?何か…あったの?」


先生は、私の頭の上にキスをしながら


「何が有っても、俺を信用して欲しい」


そう言ったきり、口をつぐんでしまう先生にこの上ない不安を感じる私。

職員室で何かあったのかな?

色々聞きたい事が沢山有るのに、言葉にならないんだ。


「もちろん、先生を信用するけど……
先生も、何かあったらちゃんと話してね」


そう言うのが精一杯。

とりあえず、重い空気を断ち切りたかったんだ。


「せ…先生、プリントやらなきゃ!!」


私は先生から離れて、プリントを指差した。


「おう、そうだな」

離れた先生は、いつもの先生に戻っていて、なんだか少し安心した。

少し引っかかったけど、先生も何も言ってこないし重い空気に戻るのが嫌だから、何も言わずに作業をした。


後で考えると
今、この時に聞いておけば良かったって思うよ。


幸せな2人を引き裂こうとする見えない魔の手が、すぐ側まで近づいていたって知っていたなら……


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