先生
それからまもなく、柚子が帰ってきた。

元気になった私を見て、軽く目配せをしながら意味深に笑っていた。


柚子なりの優しさなんだよね。


私は、次の日から元気にみんなと一緒に行動した。

ほとんどが団体行動だから、先生と2人っきりになる事は出来なかったけど、それも仕方ないかなって思えてきたし。


今日、柚子と行った神社で買った


【えんむすび】


と、書かれているお守り。


――恋人同士の仲を深めたいあなたに――


そんなフレーズに負けて、ついつい買ってしまった。


完全に、神社の策略にはまっているね。


青と赤の2つ買い、私は赤いのを鞄にくくり付けた。

もちろん、青い方は先生用。

私は、青い方のお守りを鞄に入れると、皆で次の目的地へと向かった。



最終日の夜。

お風呂から上がって、みんなソワソワしている様子。


無理も無い。

今日を逃したら、もういつもの生活の戻ってしまうんだもんね。


って事で、みんな部屋に行き合うタイミングを計っていたり
告白するタイミングを伺っていたり……


大変そう。


私もダメモトで先生にメールをしてみた。


【渡したいものが有るんだけど…】


って。

もちろん、期待はしていなかったんだ。

だから、同じ部屋の柚子と話していたの。

でも、予想外に先生からメールの返信。



ドキドキしながらメールを開くと……


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