先生

すると、その下には裏返された写真が入っていた。

写真も手に取り表を見た。


やっぱり。


今朝入っていた写真と、同じ様な写真達が沢山焼き増しされていた。


どうして?


あんなに優しそうな先生がこんな事をするなんて、どうしても信じられなかったのだ。

目の前が涙でかすみ、写真にモザイクがかかっていく。

手からは血の気が引き冷たくなっていた。


めまいがする。


立っている事がやっとだった。

精神的ダメージは計り知れなく、震える体は私を谷底へといざなって行く。


絶望感が体中を支配していた。


その時


「人の机を物色するなんて、良い趣味を持っているじゃない」


背後から女性の声が聞こえた。

ドアが開く音なんて聞こえない位、ショックで立ち尽くしていたらしい。


振り返ると、一色先生が見た事が無い顔で私を見ていた。


< 333 / 444 >

この作品をシェア

pagetop