先生

生きてて……


本当に良かった。


実は、最悪管が沢山差し込まれ、ピコッピコッと心電図みたいなのが脇に有る状態かと思ったのだ。

私は点滴を打たれている為、外に出されている手を握りしめた。

皺が沢山有りカサカサになった手が、一生懸命働いてくれた事を物語っていた。


我慢していた涙が溢れ落ちる。


こんなになるまで働いてくれた事に、全く気づいてあげられ無かった自分を責めた。

私はお母さんに、何をしてあげられたんだろう?

心配ばかりかけて、心配事を増やして居た気がするよ。


「ごめんなさい……」


私は手を握りしめたまま、自分のおでこにお母さんの手をくっつけた。


そんな私の背中をさする手が……

顔をあげると、みはっちゃんが私の横に立ち難しい顔をしていた。

みはっちゃんは何を言う訳でもなく、ただ私の横にいてくれた。


みはっちゃん、ありがとう。


声にならない言葉。
心の中で精一杯の気持ちを込めて呟いた。

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