先生
「久しぶりだな」
改めて言われたから、何だかさっきより意識してしまうよ。
「そうだね」
本当は色々聞きたい事が有るはずなのに、全く声にならない。
口は重く閉ざされたまま、ただ真咲先生を見つめていた。
多分、口を開くと『好き』って言ってしまいそうだったからかもしれないね。
私はグビグビとお茶を飲み、気を紛らわした。
「新庄……実は…」
―――ドキン
心が大きく波打つ。
なに?
一色先生との事?
私は先生から目を逸らした。
その時…
お母さんの瞳が、ゆっくりと開いたのが見えた。
私はとっさに駆け寄って、
「お母さん!お母さん!」
と呼びかけていた。
初めは状況が分からない様子だったみたいだけど、徐々に自分がどうなったのか思い出したみたい。
お母さんは、泣きながらお母さんを呼ぶ私の頬を触って
「泣かないの」
そう言って、涙を拭ってくれた。
さっき嫌って程泣いたはずなのに、まだまだ溢れ出てくる涙。