先生

「あんた、喧嘩でもしたの?」

「へっ?」

いきなりそんな意外な事を聞かれ、私は間の抜けた返事を返していた。

「真咲先生と、喧嘩したの?」

お母さんはもう一度、私に聞いてきた。

母親の勘と言うところだろうか?
それとも、さっき余りにもよそよそしかったのだろうか?

どちらにしても、返事は同じだった。


「喧嘩?してないよ」

私は窓の外を眺めたまま答えた。

「そう、ならいいけど」

そう言うと、お母さんはそれ以上その事には触れなかった。

結局、雨もヒドくなり私は病院に泊まる事にした。

看護婦さんにお願いしたら、ものすごい簡易的なんだけどベットを貸してくれた。

寝心地が良いとは決して言えない代物だけど、今の私にはそれで充分だった。

薄い布団を掛けると、かなり疲れて居たのか私はすぐに眠りについていた。


本当は、お母さんと沢山沢山話したかったのに……


ごめんなさい。
明日ゆっくり話そうね。

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