先生
もう離さない
私は病室に戻り、1番奥のカーテンに向かう。
―ただいま―
そう言いかけた時、中から会話が聞こえてきて言葉を飲み込んだ。
聞き慣れた声。
そして、待ちわびた声。
なんだか話を途切れさせてしまうのが嫌で、私は少し会話をカーテン越しに聞いていたんだ。
「……なった時、真咲先生どうなさいますか?」
「もちろん、僕が責任を持ちます」
「と言いますと?」
「一生純那さんを守ります」
!!!!!
思わず声を出しそうになった。
かろうじて両手で自分の口を押さえると、私は一つ深呼吸をした。
「それが聞けて、安心しました。私にもしもの事が有った時、宜しくお願いしますね」
お母さんは、最悪の事を考えていてくれたんだ……
もしもの事なんて、考えたくないよ。
いつの間にか、私の頬には一筋の涙が流れていた。