先生
たわいもない話をした後、不意にお母さんは外を見た。
私もつられて窓の外を見る。
春の訪れはあるものの、まだまだ日が短く外は暗くなりかけていた。
「今日は早く帰りなさい」
「えっ?大丈夫だよ。今日も泊まるよ」
私は当たり前の様に、病院に泊まるつもりだったんだけどな……
「ご迷惑になるでしょ?お母さんは大丈夫だから、今日は帰りなさい」
少し強い口調で言われ、黙り込んでしまう私に
「真咲先生、純那をお願いしますね」
「もちろん、お送りします」
なんて言うんだから。
勝手に決めないでよね。
私は慌てて
「大丈夫だから!!自分で帰れるし」
今は付き合ってないんだから、送ってもらうなんて出来ないよ。
「純那、先生の言う事をちゃんと聞きなさい。お母さん心配で、また倒れるわよ」
お母さん、さっき自分で大丈夫って言ってたじゃん。
しかもそれだけ元気だったら、全く心配ないよ。
はぁぁぁ~~~
なんで私が怒られなきゃならないのかな?
でも、これ以上話しても完全に水掛け論になるのよね……
私は仕方なく
「分かったわよ」
と、言い立ち上がった。