先生

久々に触れた先生の唇に、体の芯からゾクッと熱くなり、自分の体じゃないみたいに自由がきかなくなっていた。


力が入らないよ……


荒々しく唇を合わせてきたのに、優しさが先生から伝わってくるんだ。

タバコの匂いとミルキーの甘さが混ざり合って、不思議な共演をしていた。

ゆっくりと離される唇。


ジッと私を見た先生は

「本当だ」

って言って、笑顔になったんだ。

茫然としている私をグッと抱き寄せ、先生は話し始めた。


「純那、ちゃんと妙子と話しをつけた。
 俺は、純那じゃないとダメなんだ……」


先生は私の肩を持つと少し離し、私の瞳を見つめてきた。


「俺は、一生純那と居たいんだ。純那に何か有ったら、俺が体を張ってでも守りたい。

だから…結婚を前提に付き合って欲しい」


け…結婚……?


実感が湧かないよ。


でも先生の言葉が、素直に嬉しかった。

< 375 / 444 >

この作品をシェア

pagetop