先生
先生の心臓の音が、近くで聞こえてきた。
それに触発される私の心臓。
「幸せにするから」
先生の体から、じかに聞こえる声。
私の体中に響き渡って、涙が溢れ出しそうになった。
堪えるのに必死で、頷くのが精一杯だよ。
先生の温もりが体中を包み込み、やがて体の芯から痺れていく。
ただ、1つ気になっていた事が有った。
私は少し離れながら
「先生…お母さんに聞かないと……」
心配そうな顔で聞くと
「了承済み。だから、何も心配するな」
ってニヤッと笑ったんだ。
「それより、俺から離れるな」
そう言うと、グイッと又胸元に引き寄せる先生。
もうっ!!
離れろって言われても、離れてやらないからね。
私は先生の背中に手を回し、ギュッと抱きしめ返した。
『もう、一生離さないからね』
そう、先生の胸の中で呟いた。