先生
「ああ…」
力無く話す俺の前から、手紙と写真を封筒にしまい再びビニール袋に入れた。
「今まで、怖くて捨てられなかったんだ。明日、ちゃんと処分するから」
ビニール袋を元有る場所に戻す純那。
俺は、思わず背後から抱きしめていた。
「ひゃっ!!せんせ…?」
「気付いてやれなくて、本当にごめんな。俺は本当にダメ彼氏だよ……」
驚いた様子の純那の肩に、俺の涙がこぼれ落ちていた。
「先生、そんな事ない!!!」
純那は肩に置いた俺の頭に頬を寄せ、手でグルリと俺の頭を抱えた。
「愛してる」
その言葉しか出て来なかった。
かなり年下の彼女の前で、涙を流す年上の彼氏。
職業は、教師。
あまりにも滑稽で、頼りない。
なのに、純那は
「私も……」
そう言って、俺にキスをした。
純那のキスは優しくて、固まっていた心を意とも簡単にほぐしていく。
甘いキスは、しょっぱい涙の味がした。