先生

抱きしめる私の腕に力が入る。
先生は、私の両頬を触ると上を向かせた。

「怖くなったら、言うんだぞ。すぐに止めるから」

そう言うと、そっと唇に触れる優しいキスをした。

すぐに先生の唇が離れ、そしてまた首筋に降りてくるキスの嵐。

どうして良いか分からなくて、立ちすくんでいる私をそっとリードしてくれた。


先生の愛が……

体温が

吐息が


全て体の中に入り、私に刻み込んでいく。

気づいたら、生まれたままの姿でベットに寝かされている私。

月明かりが先生の顔を照らすと、少し恥ずかしくなり横を向いた。


「純那、綺麗だよ。顔を見せて…」

おでこを触り、前髪を書き上げ私を見つめる先生。

服を着ていると細いのに、意外と逞しい体にびっくりした。

目の前に居るのは、いつもの真咲先生のはずなのに、まるで見たことが無い人の様だった。


そう、そこに居たのは

教師の【真咲 慎弥 先生】ではなく
1人の男性としての【真咲 慎弥】だった。

「慎弥」

ついそう言いたくなる程、色っぽくて恰好良かった。

今、先生という姿が少しも感じられない程、男性として私の前に居た。

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