先生

ホームルーム中
ずっと先生の顔を見ていた。

学校に通う事は、
後少ししかないんだよね。


先生に名前を呼ばれる事も、

こっそり視線を絡ませる事も、

日誌で頭を叩かれる事も……


無くなるんだね。
少し悲しいな。

だって私達は学校で出会い、恋に落ちたんだから。


なんか寂しくて、放課後に先生ん家に行ったんだ。


―――コンコン

ドアをノックすると、先生が返事をした。

「どうぞ」

私は中に入ると、先生はパソコンを打つ手を止めて私を見た。

「どうしたんだ?」

私はソファーに座ると、先生はお茶を淹れてくれた。

「なんか、会いたかっただけ」

不意にドアの方に歩いて行くと、鍵を閉めてしまう先生。

―――ガチャ


「俺も、会いたかったよ」


そう言って振り返った先生は、先生じゃなくなっていた。

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